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2018年3月9日 全11頁
Indicators Update
2018
年
1
月消費統計
個人消費は底堅い推移
経済調査部
研究員 廣野 洋太
エコノミスト 小林 俊介
[
要約
]
2018 年1 月の家計調査では、大雪や生鮮野菜・エネルギーの価格高騰などマイナス要
因があったものの、総じて堅調な結果であった。一方、供給側の商業動態統計は前月比
マイナスとなっているが、商業動態統計には含まれないサービス関連の消費が家計調査
で好調であった。さらに、CTIマクロの実質個人消費では前月比プラスが維持されてい
ることを踏まえれば、実質個人消費は底堅い推移であったとみられる。
2018年1月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+2.8%と2ヶ月
ぶりに増加した。実質消費支出は、均してみればほぼ横ばいの推移を続けている。実質
消費支出の動きを費目別に見ると、10大費目中7費目が前月から増加した。「住居」(同
+17.0%)、「食料」(同+2.2%)、「教養娯楽」(同+4.4%)が全体を押し上げた一方、
「教育」(同▲4.0%)と「光熱・水道」(同▲2.1%)が、押し下げに寄与した。
2018年1月の商業動態統計を見ると、名目小売販売額は前月比▲1.8%と3ヶ月ぶりに
減少した。ただし、名目小売販売額は、均してみれば回復傾向が続いている。業種別に
見ると、「織物・衣服・身の回り品小売業」(同▲7.8%)、「自動車小売業」(同▲8.4%)
が全体を押し下げた。
図表1:各種消費指標の概況
2 0 1 7 年 2 0 1 8 年
1 0 月 1 1 月 1 2 月 1 月 前 年 比 0.0 1.7 ▲ 0 . 1 2.0総 務 省 前 月 比 ▲ 1 . 2 1.4 ▲ 1 . 6 2.8総 務 省 前 年 比 ▲ 0 . 2 2.1 3 . 6 1 . 6経 済 産 業 省 前 月 比 ▲ 0 . 1 1.8 0.9 ▲ 1 . 8経 済 産 業 省 前 月 比 ▲ 0 . 4 1.5 ▲ 1 . 0 #N/A 内 閣 府 前 年 比 ▲ 1 . 8 2.2 ▲ 0 . 6 ▲ 1 . 2日 本 百 貨 店 協 会
前 年 比 ▲ 1 . 8 ▲ 0 . 3 ▲ 0 . 3 0.1( 一 社 ) 日 本 フ ラ ン チ ャ イ ズ チ ェ ー ン 協 会 前 年 比 ▲ 1 . 9 ▲ 0 . 6 0.9 0 . 6日 本 チ ェ ー ン ス ト ア 協 会
前 年 比 0.1 3.9 3.5 3.1( 一 社 ) 日 本 フ ー ド サ ー ビ ス 協 会
前 年 比 1.9 5.8 1.0 #N/A 観 光 庁
( 注 ) 百 貨 店 売 上 高 、 コ ン ビ ニ エ ン ス ス ト ア 売 上 高 、 ス ー パ ー 売 上 高 の 前 年 比 は 店 舗 数 調 整 後 。 ( 出 所 ) 各 種 統 計 よ り 大 和 総 研 作 成
旅 行 取 扱 高
出 所
家 計 調 査 実 質 消 費 支 出
商 業 動 態 統 計 小 売 業 消 費 総 合 指 数 百 貨 店 売 上 高
コ ン ビ ニ エ ン ス ス ト ア 売 上 高 ス ー パ ー 売 上 高
実質個人消費は底堅い推移
2018年1月の家計調査は、大雪や生鮮野菜・エネルギーの価格高騰などマイナス要因があっ
たものの、総じて堅調な結果であった。また、供給側の商業動態統計は前月比マイナスとなっ
た一方、商業動態統計には含まれないサービス関連の消費が家計調査では好調であった。さら
に、後述する CTI マクロの実質個人消費では前月比プラスが維持されていることを踏まえれば
実質個人消費は底堅い推移であったとみられる。
ただし、収入面において実収入が大幅に減少している点には注意が必要である。調査方法の
変更による上振れの影響を踏まえると実収入の動きは弱く、今後の動きに注目したい。
2018
年
1
月の実質消費支出は
2
ヶ月ぶりに増加
2018年1月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+2.8%と2ヶ月ぶりに
増加した(図表2)。また、調査方法の変更の影響を除いた変動調整値は同+2.7%と、消費支出
においてはその影響は軽微とみられる。実質消費支出は、均してみればほぼ横ばいの推移を続
けている。
図表2:実質消費支出(費目別)の前月比変化率
前 月 比 、 % 2 0 1 7 / 6 2017/7 2017/8 2017/9 2017/10 2017/11 2017/12 2018/1 消 費 支 出 1.4 ▲ 1 . 6 0.3 0.1 ▲ 1 . 2 1.4 ▲ 1 . 6 2.8 食 料 ▲ 0 . 4 ▲ 1 . 3 1 . 6 ▲ 0 . 4 ▲ 0 . 1 0.3 ▲ 1 . 5 2.2 住 居 1 6 . 6 ▲ 3 . 6 ▲ 6 . 7 10.9 ▲ 5 . 2 ▲ 7 . 3 ▲ 1 1 . 8 17.0 光 熱 ・ 水 道 0.1 0.4 0.3 0.0 ▲ 0 . 3 2.9 2 . 6 ▲ 2 . 1 家 具 ・ 家 事 用 品 ▲ 6 . 4 7.0 ▲ 4 . 6 0.8 ▲ 3 . 7 17.5 ▲ 1 2 . 5 8.1 被 服 及 び 履 物 ▲ 7 . 9 1 0 . 6 ▲ 6 . 4 1.2 1.1 2.1 ▲ 3 . 8 5.7 保 健 医 療 1.9 ▲ 5 . 8 ▲ 2 . 1 6 . 9 ▲ 2 . 8 3.4 ▲ 1 . 4 7.5 交 通 ・ 通 信 ▲ 3 . 6 ▲ 2 . 7 1.0 0.4 ▲ 3 . 5 3.9 ▲ 0 . 7 0.2 教 育 6 . 5 ▲ 5 . 6 ▲ 3 . 3 12.3 2.1 ▲ 2 . 8 ▲ 2 . 3 ▲ 4 . 0 教 養 娯 楽 2.3 ▲ 2 . 5 2.3 ▲ 2 . 8 ▲ 1 . 8 3.0 1.1 4.4 そ の 他 の 消 費 支 出 0 . 6 ▲ 2 . 6 ▲ 1 . 5 ▲ 0 . 1 ▲ 0 . 1 0.2 1.3 ▲ 2 . 2
( 注 1 ) 二 人 以 上 の 世 帯 。 総 務 省 に よ る 季 節 調 整 値 。
10
大費目別の動き:
7
費目が前月から増加
実質消費支出の動きを費目別に見ると、10大費目中7費目が前月から増加した(図表2)。「住
居」(前月比+17.0%)、「食料」(同+2.2%)、「教養娯楽」(同+4.4%)が全体を押し上げた一
方、「教育」(同▲4.0%)と「光熱・水道」(同▲2.1%)が、押し下げに寄与した。
「住居」は、2017年10月~12月にかけて前月比減が続いており、特に12月は減少が大きか
った(2017年11月比▲11.8%)ことから反動が出たものとみられる。「食料」では、調理食品
や飲料が全体を押し上げた。1月は気温が例年と比較して低かったことから、おでんなど季節性
の調理食品が好調であったようである。「教養娯楽」では映画館やテーマパークの入場料が含ま
れる他の教養娯楽サービスが全体を押し上げた。
一方、減少に寄与した「教育」では、補習教育が全体を押し下げた。また、「光熱・水道」で
は、総じて減少が見られたが、特に電気代の減少が大きかった。エネルギー価格の上昇に対応
し、家計が使用量を節約している可能性がある。
図表3:実質消費支出(季節調整値、2015年基準)の推移
8,000 13,000 18,000 23,000 28,000 33,000 35,000 40,000 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
交通・通信 その他の消費支出
教育(右軸) 教養娯楽(右軸) (円)
(月) (年) (円)
8,000 9,000 10,000 11,000 12,000 13,000 14,000 15,000 16,000
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
家具・家事用品 被服及び履物
保健医療 (円)
(月) (年) (円)
(月) (年)
12,000 14,000 16,000 18,000 20,000 22,000 24,000 26,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 80,000 82,000 84,000
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
食料 住居(右軸) 光熱・水道(右軸) (円)
(月) (年)
(円) (円)
230,000 250,000 270,000 290,000 310,000 330,000 350,000
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
消費支出 消費支出(3ヶ月移動平均) (円)
(月) (年) (円)
(月) (年)
(注1)二人以上の世帯。総務省による季節調整値。
(注2)「その他の消費支出」は名目金額指数(季節調整値)を、CPIの持家の帰属家賃を除く総合指数で実質化した値。 (注3)各費目で個別に季節調整されているため、その合計は消費支出全体の季節調整値と一致しない。
調査票変更による上振れがあったものの実収入は減少
収入関連の動きを実質ベースで見ると、1月の勤労者世帯の実収入(税込み収入)は、季節調
整済み前月比▲2.7%と 3 ヶ月連続で減少した。実質可処分所得についても同▲3.0%減少して
おり、消費性向は、同+3.6%ptと大幅な上昇となった(図表4、図表6)。
しかし、この背景には調査方法変更の影響があるとみられる。収入関連の主な変更は、調査
票において自由記入だった収入項目が、あらかじめ指定された項目に対応する金額を記入する
プレコード方式になった点である。この変更では、記入漏れの軽減が期待されることから、数
値は上振れする可能性が高い。
実際、2018年1月の勤労者世帯の実収入は、前年比▲1.5%であったものの、調査票変更の影
響を除くと同▲3.3%となる。季節調整値においては、調査方法の変更の影響を除去した数値が
公開されていないが、原数値と同じだけの上振れ効果があった可能性が高い。
図表4:実収入、非消費支出、可処分所得(実質) 図表5:実質可処分所得の伸び率(2013年比累積)
図表6:実質消費支出、平均消費性向 図表7:平均消費性向の要因分解
8 9 10 11 12 13 14 15 16 92 94 96 98 100 102 104 106
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 2014 2015 2016 2017 2018
非消費支出(右軸) 実収入 可処分所得
(2015年=100)
(年) (注)季節調整値。
(出所)総務省統計より大和総研作成
(月) (万円)
-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4
14/1 14/5 14/9 15/1 15/5 15/9 16/1 16/5 16/9 17/1 17/5 17/9 18/1
他の非消費支出 社会保険料
直接税 実収入
可処分所得 (2013年比累積、%、%pt)
(年/月)
(注)直接税、社会保険料、他の非消費支出の季節調整は大和総研による。 (出所)総務省統計より大和総研作成
60 65 70 75 80 85 90 95 100 105 110 115 120
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 2014 2015 2016 2017 2018
消費支出
平均消費性向(右軸) (2015年=100)
(年)
(注)季節調整値。
(出所)総務省統計より大和総研作成
(月) (%) -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 2014 2015 2016 2017 2018
誤差 消費支出
可処分所得 平均消費性向
(累積前月差、%pt)
(月) (年) (注)2013年12月比、季節調整値。
名目小売販売額は
3
ヶ月ぶりに減少
2018年1月の商業動態統計を見ると、名目小売販売額は前月比▲1.8%と3ヶ月ぶりに減少し
た(図表8、図表9)。ただし、名目小売販売額は、均してみれば回復傾向が続いている。
業種別に見ると、「織物・衣服・身の回り品小売業」(前月比▲7.8%)、「自動車小売業」(同▲
8.4%)が全体を押し下げた。「織物・衣服・身の回り品小売業」では、1月は天候が優れない日が
多かったため、客足が伸び悩んだとみられる。「自動車小売業」は、業界統計の販売台数を見て
もピークアウトしており、今後の動向に注意が必要である。
一方、全体の押し上げ要因となったのは「燃料小売業」(前月比+1.7%)である。ただし、
商業動態統計は、数量ではなく金額ベースの販売額であり、「燃料小売業」の販売増は、エネル
ギー価格の高騰によって底上げされているとみられる。実際、家計調査におけるエネルギー関
連の支出は前月比減となっている。
図表8:小売販売額(季節調整値、2015年基準)の推移
1.8 1.9 2.0 2.1 2.2 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
燃料小売業 その他小売業(右軸) (兆円)
(月) (年) (兆円)
0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
自動車小売業 機械器具小売業(右軸) (兆円)
(月) (年) (兆円)
(注1)経済産業省による季節調整値。
(注2)2015年7月以降の「小売業計」は、「無店舗小売業」を含む。「その他小売業」は、「医薬品・化粧品小売業を含むその他小売業」。 (注3)各業種で個別に季節調整をかけているため、その合計は「小売業計」と一致しない。
(出所)経済産業省統計より大和総研作成
11.0 11.2 11.4 11.6 11.8 12.0 12.2 12.4 12.6 12.8 13.0
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
名目小売販売額
名目小売販売額(3ヶ月移動平均) (兆円)
(月) (年)
3.3 3.4 3.5 3.6 3.7 3.8 3.9 4.0 0.8 0.9 1.0 1.1 1.2 1.3
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1
2014 2015 2016 2017 2018
各種商品小売業 織物・衣服・身の回り品小売業 飲食料品小売業(右軸) (兆円)
図表9:小売販売額(業種別)の前月比変化率
2
月の消費者マインドは
2
ヶ月ぶりに悪化
2018年2月の消費者マインドを確認しておくと、消費動向調査の消費者態度指数は前月差▲
0.4ptと、2ヶ月ぶりに低下した。同指数の上昇は頭打ちとなっている(図表10)。
指数の内訳を見ると、「暮らし向き」(前月差▲0.4pt)、「雇用環境」(同▲1.0pt)、「耐久消費
財の買い時判断」(同▲0.5pt)が低下した。一方、「収入の増え方」は同+0.3pt と上昇した。
「暮らし向き」については、生鮮野菜の価格高騰や原油高による物価高が、引き続き影響してい
るようだ。また、耐久消費財消費は買い替え需要に支えられてきたが、マインドにおいてもピ
ークアウト感が見られる。
参考系列である「資産価値」に関する意識指標は前月差▲2.8ptと低下した。調査期間中(2018
年 1/16~2/15)において発生した世界的な株価の急落が影響したとものとみられる。
図表10:消費者態度指数とその構成系列の推移
前 月 比 、 % 2 0 1 7 / 6 2017/7 2017/8 2017/9 2017/10 2017/11 2017/12 2018/1 小 売 業 計 0.2 1.1 ▲ 1 . 6 0.8 ▲ 0 . 1 1.8 0.9 ▲ 1 . 8 各 種 商 品 小 売 業 0.0 ▲ 0 . 3 ▲ 0 . 1 0.4 ▲ 0 . 6 1.4 ▲ 1 . 7 1.5 織 物 ・ 衣 服 ・ 身 の 回 り 品 小 売 業 1 . 6 ▲ 1 . 0 ▲ 3 . 9 6 . 2 ▲ 2 . 8 2.5 0 . 6 ▲ 7 . 8 飲 食 料 品 小 売 業 ▲ 0 . 7 0.5 ▲ 0 . 4 0.5 ▲ 1 . 3 1.7 2.3 ▲ 0 . 3 自 動 車 小 売 業 1.4 ▲ 2 . 3 2.2 ▲ 1 . 4 ▲ 2 . 6 2 . 6 3 . 6 ▲ 8 . 4 機 械 器 具 小 売 業 ▲ 4 . 5 7.2 ▲ 1 . 6 ▲ 3 . 1 0.8 9.2 ▲ 2 . 8 0.9 燃 料 小 売 業 ▲ 1 . 2 ▲ 1 . 7 0.3 1.8 3.1 4.7 2.5 1.7 そ の 他 小 売 業 ▲ 0 . 4 0.9 ▲ 1 . 2 ▲ 0 . 6 ▲ 2 . 0 2.0 ▲ 0 . 2 0.8
( 注 1 ) 経 済 産 業 省 に よ る 季 節 調 整 値 。
( 注 2 ) 2 0 1 5 年 7 月 以 降 の 「 小 売 業 計 」 は 、 「 無 店 舗 小 売 業 」 を 含 む 。 「 そ の 他 小 売 業 」 は 、 「 医 薬 品 ・ 化 粧 品 小 売 業 を 含 む そ の 他 小 売 業 」 。 ( 出 所 ) 経 済 産 業 省 統 計 よ り 大 和 総 研 作 成
30 32 34
36
38 40 42 44
46
48 50
14/1 14/5 14/9 15/1 15/5 15/9 16/1 16/5 16/9 17/1 17/5 17/9 18/1
消費者態度指数 暮らし向き
収入の増え方 雇用環境
耐久消費財の買い時判断 資産価値の増え方(参考系列)
(年/月) (pt)
(注)「資産価値の増え方」は、消費者態度指数の構成系列ではない。
実質個人消費の先行きは横ばい
実質個人消費の先行きは、名目賃金増加の効果が、原油高などを背景にした物価高や耐久消
費財需要の剥落などのマイナス要因によって相殺され、横ばい圏で推移するとみている。
名目賃金を時間当たり賃金と労働時間に分解すると、時間当たり賃金については、重石であ
った正規比率の低下が底打ちしており、正規雇用者の絶対数も増加していることが好材料だ。
さらに正社員の有効求人倍率が 1 倍を超えていることから、今まで非正規雇用中心だった賃金
増が正規雇用に波及する可能性がある。
もっとも、労働時間が削減されれば経済全体で見た名目賃金は伸びない。しかし、日本経済
は回復局面にあり、企業としては労働時間を確保するインセンティブは低くない。パートタイ
ム労働者のさらなる短時間化や過度の長時間労働を是正する動きなど経済全体の労働時間を抑
制する流れはあるものの、非正規雇用を正規化するなどして、当面はマクロで見た労働時間は
維持されるとみている。
ただし、原油高や 2017 年秋ごろの天候不順による一部野菜価格の高騰は、物価を押し上げ、
実質賃金の抑制要因となる。原油価格は、2月に入り低下したものの、消費者物価に反映される
にはタイムラグがあることから、当面は、物価上昇が継続する可能性が高い。さらに、現在個
人消費を底上げしている耐久財の買い替え需要が剥落することで、個人消費はさらに抑制され
る可能性がある。以上のように名目賃金増加の効果が物価上昇と耐久財の買い替え需要の剥落
新指標、消費動向指数(
CTI
)について
2018年1月分から、代表的な消費統計である家計調査が一部変更されると同時に、消費動向
指数(CTI)と呼ばれる新しい指標が作成される。CTI は、代表的な消費統計である家計調査と
その他の消費関連統計・調査を合成し、時系列分析などの統計的な手法を用いることで、家計
調査では対処しきれなかった課題に応える指標である。
CTIには二種類あり、世帯消費動向指数(CTIミクロ)と総消費動向指数(CTIマクロ)の二
つの指数が作成される。CTIミクロは、世帯ベースの消費動向を見る指標である。家計調査の結
果を家計消費単身モニター調査と家計消費状況調査の結果などで補正・補強する形で作成され
る。家計調査と同様に世帯属性別、費目別で消費の動向を見ることができる。
CTIマクロは、GDP の家計最終消費支出の動きを月次で推測する指標である。家計調査の他に、
商業動態統計調査や第 3 次産業活動指数など供給側の統計データを説明変数とする時系列回帰
モデルを利用することで、GDP 統計の月次動向を推測する指標となっている。
CTIミクロでは、調査対象に単身世帯が含まれており、経済全体の実態が掴みやすい、標本規
模の拡大や記入方法の変更で「誤差」が軽減される等の利点が期待される。さらに CTI マクロ
では、四半期ベースでしか見ることのできない GDP 統計の家計最終消費支出を月次で推測でき
るという利点がある。
実際にCTIの動きを見てみよう。2018年1月のCTIミクロにおける実質消費支出は前月比+
2.0%と2ヶ月ぶりに増加した(図表11)。実質消費支出の動きを費目別に見ると、「交通・通信」
(同+8.1%)と「住居」(同+8.6%)が全体を押し上げた一方、「教育」(同▲4.9%)が、押し
下げに寄与した。
家計調査との対比で言えば、CTIミクロの方が「交通・通信」の増加の影響が大きい。CTIで
は耐久財消費のぶれがより小さくなっていることに鑑みれば、自動車等購入や移動電話が家計
調査の数字よりは堅調であった可能性が高い。
次にCTIマクロの動きを見てみよう(図表12)。CTIマクロで見た実質消費は、前月比+0.4%
と2ヶ月ぶりに増加した。CTIマクロは、GDP における実質家計最終消費支出と比較すると足下
では若干弱さが見られるが、概ね同様の動きとなっている。2018年1月の商業動態統計は同▲
1.8%と、供給側統計に弱さが見られたことから、CTI ミクロと比較すると小幅な増加にとどま
図表11:世帯消費動向指数(実質、季節調整値、2015年基準)の推移
図表12:CTIマクロ(実質)とGDPにおける実質家計最終消費支出の推移
2.5 2.6 2.7 2.8 2.9 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 8 10 12 14 16 18 20
13/01 13/07 14/01 14/07 15/01 15/07 16/01 16/07 17/01 17/07 18/01 交通・通信
教養娯楽 教育(右軸)
(年/月) (2015年の消費支出=100) (2015年の消費支出=100)
3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5
13/01 13/07 14/01 14/07 15/01 15/07 16/01 16/07 17/01 17/07 18/01 家具・家事用品
被服及び履物 保健医療
(年/月) (2015年の消費支出=100)
6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0
13/01 13/07 14/01 14/07 15/01 15/07 16/01 16/07 17/01 17/07 18/01 住居
光熱・水道
(年/月) (2015年の消費支出=100)
23 24 25 26 27 85 90 95 100 105 110 115
13/01 13/07 14/01 14/07 15/01 15/07 16/01 16/07 17/01 17/07 18/01 消費支出
消費支出(3ヶ月移動平均) 食料(右軸) (2015年の消費支出=100)
(年/月) (2015年の消費支出=100)
(年/月) (2015年の消費支出=100)
(注1)総世帯。総務省による季節調整値。 (注2)2016年12月以前は四半期ベース (出所)総務省統計より大和総研作成
277 282 287 292 297 302 92 94 96 98 100 102 104 106 108 110
13/01 13/07 14/01 14/07 15/01 15/07 16/01 16/07 17/01 17/07 18/01
CTIマクロ 家計最終消費支出(右軸)
(2015年=100)
(年/月)
(注)家計最終消費支出は四半期ベース (出所)内閣府、総務省統計より大和総研作成
消 費 ・ 概況
30 32 34
3 6
38 40 42 44
4 6
48
20 25 30 35 40 45 50 55
6 0 6 5
1 2 3 4 567 8 91011121 2 3 4 567 8 91011121 2 3 4 567 8 91011121 2 3 4 567 8 91011121 2
14 15 1 6 17 18
景気ウォッ チャー調 査 現状 判断DI 家計動 向 景気ウォッ チャー調 査 先行 き判断DI 家計 動向 消費者態度 指数(郵 送調査、 右軸) (出所)内閣府統計より大和総研作成
(年)
(月)
消 費者 マイン ド
(DI) (DI)
-15 -10 -5 0 5 10
15/1 15/4 15/7 15/101 6/ 1 1 6/ 4 1 6/ 71 6/ 1 017/1 17/4 17/7 17/10 18/1
(前年 比、%)
基礎的支出 選択的支出 実質消費
(出所)総務省統計より大和総研作成
基 礎的 支出と 選択的 支出
(年/月)
94
9 6
98 100 102 104
1 06
108 110 112
270 280 290 300 310 320 330
1 2 3 4 567 8 91011121 2 3 4 567 8 91011121 2 3 4 567 8 91011121 2 3 4 567 8 91011121
14 15 1 6 17 18
民間最終消 費支出 消費総合指 数(右軸 )
消費活動指 数(旅行 収支調整 済)( 右軸)
(出所)内閣府、日本銀行統計より大和総研作成
(年)
(月)
GDPベース の民間 最終 消費支 出と 消費総 合指 数
(兆円) (2011年=100)
93 95 97 99 101 103 105
14/1 14/5 14/9 15/1 15/5 15/9 1 6/ 1 1 6/ 51 6/ 9 17/1 17/5 17/9 18/1
(2010年=100)
合計 百貨店 スーパー
(出所)経済産業省統計より大和総研作成
大 型小 売店業 態別商 品販 売額
(年/月)
(出所) 閣 総
25 30 35 40 45 50
8 10 12 14
1 6
18 20
14/1 14/5 14/9 15/1 15/5 15/9 1 6/ 1 1 6/ 5 1 6/ 9 17/1 17/5 17/9 18/1
合計(右軸 ) 小型乗用車 普通乗用車 軽自動車
(注)季節調整は大和総研。個別に季節調整をかけているため、各項目を足し合わせても「合 計」と完全には一致しない。
(出所)日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会統計より大和総研作成
新 車販 売台数
(年/月)